リビンマッチ公認!リビン・テクノロジーズ株式会社が第17期第2四半期報告を発表。新型コロナウイルスの影響は?

こんにちは、リビンマッチ公認!リビンマッチの歩き方~不動産売却とは?~です。
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導入

2020年5月14日付けで、リビンマッチの運営元であるリビン・テクノロジーズの第17期第2四半期報告書が開示されました。
ここではこの報告について考察します。

※当記事はあくまで一考察であり、内容の正しさを保証するものではありません。正確な情報をご覧になりたい方は、下記の報告書、決算短信、決算説明資料をお読みください

・2020年9月期 第2四半期報告書
・2020年9月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
・2020年9月期 第2四半期決算説明資料

新型コロナウイルスの影響について

まず、気になる新型コロナウイルスの影響について簡潔に考察します。

新型コロナウイルスは、すくなくとも第2四半期の経営にはほとんど影響を及ぼしていません。

現状、エンドユーザーの不動産売却査定ニーズに大きな変化は無い、と報告しています。リビンマッチは安定して利用され続けている、ということでしょう。また、リビンマッチに加盟している不動産会社の数も2,500社程度で推移しており、減少傾向は見られません。

リビン・テクノロジーズ自体も、業務を積極的にリモートワークへ切り替えたり、従業員へマスクを配布したりと、新型コロナウイルス対策に万全を期しています。

リビン・テクノロジーズとは直接の利害関係を持たない第三者の見解も考慮しましょう。リビン・テクノロジーズは「情報サービス」を手がける企業です。また、リビン・テクノロジーズのクライアントは「不動産」を手がける企業です。日銀短観の業況判断によれば、「情報サービス」も「不動産」も、他業種に比べると悪い状況にはありません。

また、過去の不況時においても不動産の売買登記件数に極端な減少はありません。サブプライム住宅ローンおよびリーマン・ショックの影響で景気が大幅に落ちこんだ2007年~2009年においても、不動産の売買登記件数は10%減程度に留まっています。

以上のことから、現在のところ新型コロナウイルスがリビン・テクノロジーズの経営に与える影響は軽微であるといえます。

もちろん、今後の影響については未知数です。リビン・テクノロジーズ代表の川合大無氏も「上期への影響は軽微だったが、下期への影響は現時点では不透明」とコメントしています。

サマリー

単位:百万円 | | 前期第2四半期累計実績 | 当期第2四半期累計実績 | 前年同期比率 | 通期計画 | 進捗率 | | ———- | ———– | ———– | —— | —– | —– | | 営業収益 | 921 | 1,038 | 113% | 2,005 | 52% | | 営業利益 | 183 | 56 | 31% | 10 | 514% | | 経常利益 | 191 | 131 | 38% | 2 | 2258% | | 当期(四半期)純利益 | 131 | 38 | 29% | 0.7 | 5068% |

営業収益

前年同期比率113%、1,038百万円となりました(前年第2四半期921百万円)。右肩上がりを続けており、第1四半期で見られた成長軌道は順調に続いていることがわかります。

営業利益

前年同期比率33%、56百万円と、利益面ではあまり良くない状況のように見えます(前年第2四半期183万円)。ですが、これは計画に沿ったものであると考えられます。というのも、リビン・テクノロジーズは今期全体の営業利益を10百万円と計画していました。実績は56百万円、進捗率は514%と、計画はすでに達成しています。

利益が下がった原因のひとつは、シンプルに粗利が減少したためです。特にマッチングサービスにおける広告出稿コストが大きくなり、広告効率が低下しました。また、リビンマッチに掲載する広告の売上が減少しました。粗利が減少したとはいえ、すでに原因を詳細に把握しており、改善策を打っています。IT企業ならではのスピード感といえるでしょう。

前年に比べて利益が大きく下がった一番の原因は、重点施策への投資です。リビン・テクノロジーズの経営計画では、今期を「積極投資の年」と位置付けています。具体的には人材投資に34百万円、ブランディング投資に12百万円、その他の重点施策投資等に24百万円、合計で70百万円を投資しています。

リビン・テクノロジーズは第1四半期において30百万円を投資しましたが、第2四半期においてさらに40百万円を投資したことになります。

経常利益

経常利益は上期の累計で57百万円となりました。ですがリビン・テクノロジーズは下期においても投資を継続し、通期では予定通り2百万円の経常利益になる見込みです。上期の経常利益が予定を大幅に超えているため、下期ではさらに大規模な投資がなされる可能性が高いと見ていいでしょう。

積極的投資の年

第1四半期報告を分析した記事では「人材投資」および「ブランディング戦略」について考察しました。これらは現在も継続中ですので、詳細については以前の記事をご覧ください。

ここでは人員強化にともなう営業拠点の増設、およびビジネスの拡大について考察します。いずれも「積極的投資の年」という通期計画に沿って、順調に投資がなされています。

営業拠点の増設

リビン・テクノロジーズは積極的に「人材投資」を行い、営業スタッフを強化しています。これはリビンマッチへの加盟業者を増やすことが主な目的です。というのも、リビン・テクノロジーズの収益はリビンマッチの運営にかかっているためです。

人員の強化に加えて、リビン・テクノロジーズが取り組んでいるのが営業拠点の拡大です。2020年5月には千葉県船橋市に新しいオフィスを開設しました。本社、大阪、福岡、名古屋に続く5つめの営業拠点です。船橋オフィスは主に千葉県と茨城県における加盟店舗の拡大を担当します。

リビン・テクノロジーズは第3四半期以降においても営業拠点のさらなる増設を計画しています。営業拠点の増設には資金が必要ですが、リビン・テクノロジーズが保有する現金・預金は13億円と潤沢で、経常利益も計画を大きく超えています。営業拠点を増設できるかどうかではなく、どこに営業拠点を増設するか、が課題となるでしょう。

ビジネスの拡大

リビン・テクノロジーズは今期において「新ビジネスの展開」「事業提携の増加」「M&Aの推進」を進めています。特に「事業提携」と「M&A」に関しては、企画と推進のために「事業企画部」という新たな部門を設置し、強化体制を構築しています。

事業提携としては、2019年12月に解体工事マッチングサービスを運営する株式会社クラッソーネとの業務提携を開始しました。同月、株式会社カカクコムが運営する不動産住宅情報サイト「スマイティ」ともサービスの連携を開始しています。

M&Aとしては、リビン・テクノロジーズの企業サイト内にM&Aコーナーを設置しました。リビン・テクノロジーズが主力としている「不動産売却」だけでなく、周辺ビジネスにも積極的に展開することが狙いです。ゼロから始めるのではなく、すでにノウハウや人員を有している企業を買収することで、効率的に周辺ビジネスを展開できます。

新ビジネスとしては、2019年11月から不動産実務担当者向けの e ラーニングサービスを開始しました。 e ラーニングサービスは開始から5ヶ月で累計提供社数が100社を突破し、好況です。

新ビジネスの展開、事業提携の増加、M&Aの推進、いずれもコストがかかりますし、失敗のリスクもともないます。ですが、ビジネスを拡大するためには常に挑戦し続ける必要があります。リビン・テクノロジーズの動向を見るに、挑戦に向けて積極的に投資していますが、決して無謀な投資には手を出していないといえるでしょう。

挑戦を続けた半年間・挑戦を続ける半年間

ここではリビン・テクノロジーズの第17期第2四半期報告書の内容について考察しました。総じて、利益を投資に回すことで挑戦を続けた半年間だった、といえるでしょう。幸いにもリビン・テクノロジーズの運営における新型コロナウイルスの影響は軽微でした。

ITベンチャーにおいては、利益の大半を投資するという戦略はよく見られます。最も有名なケースは Amazon でしょう。 Amazon は20年間、利益のほぼ全てを投資に回しました。結果として、現在の Amazon はEC業界の巨人に成長しました。

リビン・テクノロジーズも今期における経常利益の予定を2百万円と、企業規模に比べるとあまりに低い額に設定しています。ですが、これは Amazon と同じように利益を投資に回すためであると考えられます。これからの半年間も、リビン・テクノロジーズは挑戦を続けることでしょう。半年後の第4四半期報告書がいまから楽しみな企業です。

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