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「不動産売却入門」今回は、「任意売却について」です。
家の売却というと、普通の不動産取引として広く行われている「一般売却」、いわゆる競売として知られる「強制競売」が一般的に知られているかと思いますが、それ以外の第三の選択肢として「任意売却」というものがあることをご存じでしょうか。
住宅ローンの返済が何らかの理由で困難になったとき、債権者であるローン会社などの金融機関は抵当権などの担保権の実行することによって、債権を回収することになります。
しかし裁判所を経由した競売では現金化するのも時間がかかり、大抵の場合には市場よりも価格は安くなってしまい、金銭的なダメージを負ってしまいます。
また、差し押さえや近所に知られたり、住んでいるにも関わらず部屋の写真がインターネットで公開されるなど、精神的なダメージも計り知れません。
任意売却
強制競売とは別の、新しい選択肢としてバブル崩壊後に広まったのが任意売却という方法です。
一般売却や競売とは一体どう違うのか、またメリットやデメリットも見ていきたいと思います。
任意売却が一般売却と大きく異なるのが、債務者となる売主ではなく債権者である金融機関がメインとなるということです。
一般売却では売り手と買い手の間に不動産会社が仲介するという形をとりますが、任意売却の場合には金融機関が窓口となり、売却価格を決めるのも売主ではなく金融機関が決定権を持つことが多いようです。
しかし、売主にとっては競売より任意売却のほうがメリットはあると考えられています。
競売との違いとしても、任意売却では最初の相談から価格の決定まで1~2ヶ月という短期間で進んでいくという点が挙げられます。
これが競売の場合だと、申し立てから落札まで約8ヶ月もかかります。
競売と比べて任意売却の場合、短期間で終わり、さらにプライバシーも守られるという点がメリットだといえます。
また本来手元の資金から支払うべき、売却に必要な売却経費は任意売却の場合には用意する必要がありません。
掛かった費用は任意売却で得られた物件の成約代金から差し引かれる、という形をとるのですが、その金額も宅地建物取引法という法律で決められており、業者によって価格に差が出ることもありません。
一方、ローン会社などの金融機関にとっても競売だと様々なデメリットがあります。
債務者である売主と同様に、売却価格が低くなる、時間がかかってしまうという点はもちろんですが、競売では裁判所に対し「申し立て金」というものが必要となります。
裁判所に債権者側、この場合だと金融機関が80万~100万円程度経費として支払う必要があるのです。
ですからできれば競売にかけることなく、任意売却を行ったほうが時間もかからないし、売却価格も下がりすぎることもなく、債務者を追い出すようなことにはなりませんので、金融機関側にもメリットはあると言えます。
ただし、返せるのであればやはり住宅ローンで普通に返済してもらいたいという金融機関の意向が大前提としてありますので、積極的に任意売却を広報しているわけではないというのが現状のようです。
困ったときの救世主のような任意売却という制度ですが、デメリットはないのでしょうか。
まず任意売却において、ローン会社や銀行などの金融機関との手続きや交渉はかなり面倒というのはひとつ挙げられるかと思います。
通常の不動産売却においては債権者である金融機関と交渉する必要はありません。
というのも通常ローン付きの物件を売却する時には、ローンの残りを一括で返済しなければならないため、不動産売却において債権者である金融機関の同意はいりません。
しかし、任意売却の際には売却したお金で返済ローンの全額を払うことができないため、売却代金や返済する金額については、あらかじめ債権者である金融機関の同意を得る必要があります。
金融機関が決定権を持っているために、他にも売却の経費や引っ越し代などあらゆる項目について交渉を行う必要があり、項目ごとに予備交渉、本交渉、確定報告が必要となります。
任意売却会社に依頼しても交渉ごとは代行しないというところもあり、債務者本人が行う場合にはかなりの大変ですので大きなデメリットといえるでしょう。
任意売却を依頼する際には債権者との交渉は誰がやるのかという点はよく確認すべきです。
あまり時間をかけることができないのも任意売却のデメリットといえます。
任意売却にも期限が設けられており、債権者によって異なりますがおおむね3ヶ月~6ヶ月くらいに設定されるようです。
期間中に買い手が見つからない場合には、競売へと移行手続きすることになります。
任意売却をどこの不動産会社に依頼するのかも、債務者自身が選択しなければならない、というのも面倒な点です。
債権者である金融機関が不動産会社を紹介してくる場合がありますが、そのような会社は債権者にとって都合のいい売却スケジュールを決めてきますので、依頼しないほうが無難と思われます。
そういった理由で任意売却を引き受けてくれる不動産会社を独力で探さなければなりませんが、任意売却は限られた期間で成功させる必要が
あるので、その分野を得意とした経験豊富で処理能力の高い会社を選び出さなければなりません。
不動産会社ならどこでも同じでは?と思われるかもしれませんが、ひとくちに不動産業と言ってもその業務は多岐に渡っており、会社によって得意な分野は違ってきます。
その会社の得意分野を見分ける簡単な方法のひとつとして、その会社のホームページを確認することをお勧めします。
一番目立つところに任意売却について記載があれば、その分野を得意としていることが分かります。
競売は購入希望者に家の内部を直接見せる必要はないのですが、任意売却は一般売却と同様に購入希望者に家の内部を見学させる必要があり、これも手間がかかります。
前もって内覧予約の連絡はありますが、見学者が必ず購入するとは限りませんから、見学者の数だけ内覧に立ち会わなければならないため大変です。
しかし、あくまで立ち会うのみであり、内覧希望者を案内してくれるのは希望者が依頼した不動産会社が行ってくれますので、債務者が案内をする必要はありません。
ここまで任意売却のデメリットと言えるところを述べてきましたが、よくデメリットとして誤解されている点を挙げて今回は終わりたいと思います。
それは「必ず引っ越さなければならない」という点です。
一般売却の場合、買主は自分の居住用として購入するため、売主は引っ越しをする必要があります。
任意売却の場合も当然引っ越さなければならないと考えられていますが、必ずしもそうとは限りません。
任意売却にはリースバックという手法があり、親族や親子間で売買したり、売却した家に賃貸の形で債務者が住み続けることができます。
家への愛着があって住み続けたいという方は多く、任意売却をやらざるを得なくなった家族の一番の願いというのはやはり「この家に住み続けたい」ということでしょう。
経済的状況が好転したのちには、売却した我が家を買い戻すという方もいるそうで、家というものの人間の心理に与える影響の大きさを考えさせられます。